鉄の掟は恋愛禁止
「あのアイドル練習、お嬢も誘ってやってくんねぇ?」
「いいよー」
かえんどくりゅうに言われたとき、姫は特に躊躇うこともなくすぐに親指を立てた。
楽しいに違いないから。
ネオ=アルラウネがもう一人の加入希望者を断るとは考えにくかったのも理由の一つだ。アイドルグループは奇数がいいと言ってハーピィを誘っていたが、「ヒメタンオシオタとして参加はできない」と姫にはわからない言葉で断られ、そしてなぜかネオ=アルラウネは「それなら仕方ない」とすぐに引き下がった。ハーピィの意志を尊重したものの、もう一名グループに入れたいと考えているネオ=アルラウネはそこまで深くゼツランの素性を追及しないだろう、と姫は考えている。
しかし問題は、なんといってゼツランを紹介するかである。
「ただ、セクシーの知らない子を私の友達って言って連れて行くのはちょっと無理があるかなと思うんだけど」
「じゃあネオ=アルラウネには機を見て俺から俺の親戚ってことで言っておくよ。お嬢は姫から誘ってやってほしい」
「オッケー」
かえんどくりゅうとのひそひそ話を終えた姫は、さっそく次の休憩でゼツランの元へ向かおうとしたが、柱に自らの頭をぶつけるあくましゅうどうしをスルーできるはずもなかった。
「何やってるの?」
「姫っ!! ダメだよ!! その格好で近付かないで!!」
「? なんで?」
近付くななどと言われて近付かない姫ではない。ぐいっと一歩近付くと、あくましゅうどうしは数歩後ずさりして逃げ出した。
「なぁんで逃げるのー!?」
「あぁぁぁぁ」
逃げられたら追いたくなるもので、姫は当然のように彼を追いかける。そんな姫から逃げ切れるはずもなく、あくましゅうどうしはものの数秒で捕まった。長いしっぽを掴まれ、真っ直ぐな廊下のド真ん中で勢い余って前につんのめる。
「ぐぇっ」
「うわっ」
一緒に転んだ姫だったが、咄嗟にキャッチする形で受け止めるあくましゅうどうしのおかげで特に怪我もない。彼の方はしこたま腰を打って瀕死だが、姫が腕の中にあることの方が重要でそれほど痛みを感じなかった。あくましゅうどうしが庇うために背中に回した手を放した後も姫はそのまま問い詰める。
「あわわわわ近い近い近い近い」
「ねぇ、なんで逃げるの!」
「か」
(可愛すぎるから)
「か?」
(感想だし、誉め言葉として可愛いくらいは言っていいのだろうか。いや、似合ってるの方が)
「に」
「カニ?」
言ってしまおう、とあくましゅうどうしが自分を鼓舞するように拳を握ると、ピピーッという鋭いホイッスルの音がした。
「コラーッ! アイドルは恋愛禁止ですのよ!? そんなスキャンダル写真を撮ってくださいと言わんばかりの……! またあなたですの、あくましゅうどうしさん。あなた、握手会出禁にしますわよ!!」
「違います!! 転びそうなのを助けたんです!!」
咄嗟に敬語で全力否定し、姫を引きはがす。姫を立たせて怪我の有無を改めてチェックするが、怪我はなさそうだったのでホッと息をついて一歩下がった。
「ね!? 転びそうだったよね!?」
「うん、助けてくれてアリガト」
「それじゃ!!」
あくましゅうどうしが腰を押さえながら悪魔教会へと戻っていくのをネオ=アルラウネは腕を組んで「アンチよりガチ恋の方が厄介ですわ」と呟きながら見送った。
(あ、逃げた理由を聞きそびれた。蟹が食べたかったのかな)
「そういえば、セクシーはこんなところでどうしたの? もしかして休憩終わり?」
「アイドルのときはプロデューサーって呼んでくださいな。休憩は終わりなのですが、さっきゅんさんがもうバテてるので本日は終了にいたしましょう。本日も楽しかったですわ、姫」
「私も楽しかったよ~」
姫はネオ=アルラウネに手を振り、一度牢に戻って着替えることにした。お風呂に入って汗を流してからゼツランに会いに行こうと考えていたが、ダンスの疲れで寝てしまったためその日ゼツランに会いにいくことはなかった。
(そういえば、お嬢をアイドルに誘うんだった)
そう思い出したのは、ゼツランにハロウィン用の服を貸してほしいと頼まれてアイドル衣装を着せたときだった。
「可愛いよ~」
「そうかのう」
「それ、お揃いをあげるね。お嬢もアイドルしようよ」
「ええの?」
「うん。きっと楽しいよ」
姫が言うと、ゼツランは頷いた。こちらも即答である。
そんなわけで、姫はサンドラがいないタイミングを見計らってゼツランを連れ出し、ネオ=アルラウネに対面させた。
「プロデューサー。アイドル志望の子を連れてきたよー」
「あぁ、かえんどくりゅうさんからお話は聞いておりますわ。オジョーさんでしたわね」
ネオ=アルラウネがゼツランをじっくり見るので、ゼツランは少し緊張しながら立っていた。姫はそんなゼツランに大丈夫だよ、と声をかける。さっきゅんも「誰々?」とやってきて、ゼツランはますます緊張した顔になった。
「素晴らしい逸材ですわ。選抜オーディションをやろうかと思っていたのですが、文句なしの合格です」
「新入りぃ? 私のことはさっきゅん先輩って呼んで!」
「可愛い先輩じゃのう、さっきゅん先輩」
さっきゅんがふんふんと鼻息荒く仁王立ちしているのを、姫も「先輩」などと言いながらじゃれつく。
そんな様子を「キマシタワ!!」とネオ=アルラウネが写真を撮る。アイドルのオフショットとして完璧な、女子が戯れる瞬間である。ネオ=アルラウネのシャッターを押す手が止まらない。
この写真を売れば、おそらくはりとげマジロのような姫の保護者枠の魔物が《姫が友達と遊ぶ瞬間》の貴重な写真として買い求めることだろう。
「姫が可愛い系、さっきゅんさんが天然系を担当し、オジョーさんが綺麗系ですわね。見えますわ! このグループがアイドル界を制するのが!!」
「褒めてもらって嬉しいが、わしが並ぶとデカく見えて不格好ではないかのう。わしは二人みたいに可愛らしい身長ではないし」
ゼツランがもじもじとスカートを伸ばす。二人より背が高いゼツランは同じ丈の衣装ではスカートの裾が膝より少し高かった。
ゼツランの言葉に、「そのスカート丈が短いのは直しましょう」と言いながら腕を組んで考え込むネオ=アルラウネ。不格好とは思わないが、確かに姫とさっきゅんが身長150cm、それに対し13cm高いゼツランは飛びぬけて大きく見えた。
(グループの身長バランスを考えるとオジョーさんがセンターがいいですが、そうなると二人がバックダンサーのようになってしまいますわ。姫のカリスマ性を考えるとやはり姫こそが不動のセンターであるべき……)
「身長がバラバラなのが気になるなら、私がハイヒールを履くよ。8cmヒールくらいなら、サキュンとお嬢の間くらいの身長になってちょうどいいんじゃないかな」
姫が高さを計るように自分より数センチ上の位置に手を伸ばす。
(それなら姫がセンターでも問題ない。さすが……、さすがのカリスマですわ。センターは譲らないというわけですわね)
「それではそうしましょう。ただし、センターはファン投票で争ってもらいますわよ! みなさんはグループの仲間であり、そしてライバルですわ!!」
「センターっていい響き! プロデューサー、私、センター目指す!!」
「その意気ですわ、さっきゅんさん!」
「熱いプロデューサーじゃのう」
「ね、楽しそうでしょ?」
いつも通りのダンスレッスンをした後、ネオ=アルラウネに言われて姫は居残ることになった。さっきゅんはバテバテで、ゼツランが「大丈夫か、先輩」などと言いながら飲み物を渡している。既に立場が逆転しつつあるのを尻目にネオ=アルラウネが話を切り出した。
「ヒールの件、そうしましょうとは言ったものの、ヒールを履いて踊るのはかなり大変ですわ。ご実家ではよく履いていらして?」
「うーん、高くても5cmだったかな。舞踏会でも踊るの好きじゃなかったから、あんまりヒールで踊ったことないな」
「でしたら、高めのヒールに慣れるところからですわね。ヒールが高くなればなるほど、体幹が強くないと美しく踊れませんわ」
「慣れだよね、やっぱり」
姫は牢に戻って、パジャマに着替え、ハイヒールを履いてみた。ゆるふわのパジャマにハイヒールを合わせるのはなんとも倒錯的で、何体かの魔物は照れて目をそらした。しかし冷たい視線を感じてすぐに散り散りに持ち場に戻った。
「なるほどなるほど」
(歩けないことはないが、踊れないな……)
「よし、あのひとに付き合ってもらおう」
姫はルームシューズに履き替え、ハイヒールを持ってのろいのおんがくかのアトリエにきた。
鍵をかけ忘れたことは悔やまれるが、もはや侵入されることに慣れてしまってのろいのおんがくかに驚きはない。だが、姫の後ろに見える影はいつ見ても背中がゾクッと冷える。
「いろいろあってねー、付き合ってほしいんだ」
「待って俺はまだ死にたくないんだけど!! ちゃんと説明して!!」
姫と距離を取りつつ、出入り口からキレ顔をのぞかせたあくましゅうどうしをしっかり確認し、「誤解です!!」と叫ぶ。
「えっとねー、アイドルでハイヒール履くんだけど、君、普段からハイヒールでしょ。だから練習に付き合ってもらう」
もらいたいではなくもらう、というところに拒否権がないんだなとのろいのおんがくかは短くため息を吐く。
「……何の練習?」
「ダンス」
「俺は踊らないから……、他を当たって」
「えー……他に心当たりなんて……、あるっちゃあるな」
「じゃあそっち行って。あと後ろのひとも連れていって」
「後ろ……? あっ、レオ君。奇遇だね。ちょっと旧魔王城に行ってくるね」
「勝手に外に出たらだめじゃないか、一緒に行くよ」
なんとか命の危機を脱したのろいのおんがくかは、アトリエに鍵をかけた。先程はうっかりかけ忘れていたので、今回は厳重にチェックした。
ピアノの前に座ると、大事に育てている小鳥が定位置の頭の上から膝の上におりてきた。モフモフと触ると癒される。誰にも教えていない名前を呼ぶと、小鳥はのろいのおんがくかの指にすり寄った。
「……さっきはちょっと危なかったな」
そうは言いつつも、のろいのおんがくかは姫のあしらいがかなり上手い方である。だがもう一人はそうではなかった。
のろいのおんがくかのアトリエの中央に、黒い亜空間が現れる。その空間の裂け目から姫がすっと現れ、のろいのおんがくかに手を振って見せる。
「ただいま~」
「何で!?」
その後ろからは、ハデスが現れた。それから当然のように一緒にいるあくましゅうどうしはもう見ないことにする。
「あ、会ったことない? こちら、君とハイヒールがキャラ被りしてる旧魔王城の裸族兄」
「そういう変な紹介やめて!! ハデス様、その……失礼ですけど状況は理解してます?」
「うむ。この人質の姫が貴様の伴奏で踊るのを見ればいいのだろう? ケロ・ベロ・スゥもよく成果を見せたがるからな」
「姫のこと子犬だと思ってます? ……で? 姫はどう練習するの?」
「うん。じゃあハイヒール履くから、君は一緒に踊って」
「……一緒に踊る?」
「……。参加型の発表会だから」
「仕方ないな」
(なんでこの人信じちゃうんだろう。あと、なんで姫はこんなに懐いてるんだろう)
のろいのおんがくかが適当にピアノを弾くのに合わせて姫がダンスし、なぜかハデスもステップを踏む。それをピアノの横に立って眺めるあくましゅうどうし。悪夢のような空間が出来上がってしまった、と部屋の主はどうすれば逃げ出せるのか悩んでいた。
姫は生まれたての小鹿状態で、姫の動きがダンスと呼べるのかどうかはかなり怪しいラインだった。そんな姫にあくましゅうどうしは拍手を送る。
「上手だよ、姫」
「そんなわけあるか」
「わーっ!! あくましゅうどうし様は褒めて伸ばすタイプなんで! 姫、もう少し靴を履きなれてからの方がいいんじゃない!?」
「そうかなぁ」
「というか、ブーツにしたらどうだ。俺もあいつもブーツだろう。足首が固定されるとかなり楽だぞ」
「あー……それいいですね。姫、ハデス様の言う通りブーツがいいよ」
のろいのおんがくかが練習を終わりにしようと言いかけたとき、姫が足を捻って隣にいたハデスにぽてっと寄りかかった。
瞬時にあくましゅうどうしの目つきが変わるので、アトリエを壊されてはたまらない、と後ろから羽交い絞めにする。瞳孔が開いたあくましゅうどうしがブンブンと腕を振り回すが、なんとかハデスには当たらずに済んだ。
「あぁもう、落ち着いてください! ハデス様! 今日はもう終わりなんで帰って大丈夫です!!」
「そうか。ではまた成果を期待しているぞ」
「うん、アリガト」
じゃあな、とハデスが消えるのを待ってあくましゅうどうしを解放した。途端に自己嫌悪に陥る上司も疲れ果てた部下も、同じように床に四つん這いになる。のろいのおんがくかが面倒くさすぎると軽く頭を振りつつ姫を見遣ると、姫はそんな二人を見て可愛らしく小首を傾げているところだった。
「あ、なーんだレオ君も踊りたかったの? じゃあ、転ばないように手を繋いでよ」
「え……!」
「……じゃあ最後に一曲弾くから、それが終わったら帰ってよ」
「え、の、のろい君……!」
姫があくましゅうどうしの手を握ると、ふらふら頼りないダンスをするので姫が転ばないように必死についていく。
月明かりが差し込むアトリエに、のろいのおんがくかが美しい旋律を奏でる。アイドルが歌うテンポの速い曲ではなく、月明かりにぴったりなゆったりとしたワルツだった。かなり不格好なダンスだったが、二人は時折目が合うとお互いに笑う。あくましゅうどうしには夢のような時間だった。
彼が覗き込む顔はハイヒールのためいつもより近く、姫のアメジストのような瞳には真っ赤な顔のあくましゅうどうしが映っていた。
(本当に年甲斐もない)
最後に姫の手を持ち上げてくるりと回すと、姫はそのままお辞儀をした。おそらく舞踏会では踊ったあとにお辞儀をするのだな、とあくましゅうどうしもそれに倣ってお辞儀をした。その間に、姫は履き物を履き替えて帰る準備を始める。
「それじゃ、二人ともありがとう。戻るね」
「姫、送るよ」
まるで真夜中に魔法が切れてしまうおとぎ話の主人公のようにあっという間に姫は出ていってしまった。
「……あれ、行っちゃった。のろいのおんがくか君、今日はありがとうね」
「お疲れ様でした。……ほんっとうに疲れた」
あくましゅうどうしに辛うじて挨拶をしてすぐさま自分のベッドに向かい倒れ込む。今日は姫よりものろいのおんがくかの方が深い眠りにつけそうだった。
その頃、早急に戻った姫の牢には珍しくかえんどくりゅうの姿があった。姫は前髪を引っ張り下ろすように直し、「いらっしゃい」と微笑む。
(なんか企んでそうな顔だな)
かえんどくりゅうはそんな印象を持ったが、それには触れずに本題を切り出した。
「サンドラにお嬢をアイドルに誘ったのがバレちまってな。いつもより怒ってるからしばらく砂風呂は諦めた方がいいぜ。窒息しちまう」
「そうなんだ。落ち着いたら砂風呂がいい感じになってそうだね。お嬢もけっこう楽しそうだったから、アイドルやってるとこ見せてあげるといいよ」
はなから気にするとは思っていなかったが、まるで意に介していない姫を見てかえんどくりゅうはふっと笑った。
「魔王様がお嬢を好きになっちゃったらどうするんです、だってさ。あいつ、可愛いよなぁ」
「大丈夫だよぉ。アイドルは恋愛禁止だから」
「そういうことじゃねぇんだけどなぁ。大体、禁止って言われてしないもんじゃねぇだろ。恋なんてするしないじゃなくて落とし穴みたいなもんだ」
「落とし穴? 罠ってこと?」
「隠れてるんだよ。で、気付かないうちにズボッとハマるわけ。『恋に落ちる』って言うだろ? でも全部が罠じゃないとも言いきれないな」
気付かないうちに、とおうむ返ししながら、姫はぎゅっとそこらへんにいたでびあくまを抱き締めた。でびあくまの耳をハミハミと柔らかく噛む。
「……私ね、アなんとか君に足を踏まれることが多くて舞踏会のダンスって好きじゃないの。……好きじゃなかったの」
「? 今は好き? よかったな」
「……うん」
かえんどくりゅうは話の繋がりがなくとも追及せずに適当に相槌を打つ。姫が普段仲良くしている魔物よりも年の功で核心を避けていく大人のうまさがあった。
関係ないとしたらただただ本当に良かったねという話であるが、そうでなければ――姫に自覚があろうがなかろうが――それを掘り起こしていいわけがないのだから。誰のおかげ? など突っ込めるはずもない。
「あ、ねぇ。落とし穴が見えないのって、穴が大きすぎて気付かないっていうこともあるんじゃない?」
「それは蟻地獄っつって確実に罠だから気を付けな。落ちたら逃げられないから」
あぁ、そう、と姫が口ごもる。
「話がズレちまったが、アイドルの件はどうせサンドラが折れるから、それまではちょっと砂風呂我慢な。寝る前に悪かったな」
「いや、別にいいよ」
「あ、顔赤かったから腹出して寝るなよ。風邪引くぞ。それじゃ、おやすみ」
「……おやすみ」
かえんどくりゅうが見えなくなってから、姫は独りごちた。
「落ちたら逃げられない、かぁ」
顔が赤かったと指摘されぺたぺたと自分の頬を触ると確かに少し熱い。
ベッドに寝転がりながら、月明かりの下のワルツを思い出す。楽しいと、思ってしまった。きっとあの悪魔はアなんとか君の嫌な思い出を全て上書きしてくれる。
ハミハミされたままだったでびあくまがするりと逃げていく。手を伸ばすものの追いかけることはなく、お腹のあたりのパジャマをぎゅっと握りしめた。みぞおちのあたりが落ち着かない。
「なんかお夜食をお願いしようかな」
姫は起き上がって窓から月を眺めた。その月明かりは先程よりも青く冷たく見える。
アイドルは恋愛禁止。鉄の掟その一だ。
ネオ=アルラウネに姫だって恋愛禁止でしょうと言われるたびに、なんとなく否定してしまう。明文化されてるわけじゃないし別に禁止じゃないはずだよ、と。それに対し彼女は何故そんなことを言うのかとは問わない。ただ「そうですの」とそれを受け入れる。
それが姫の現状ならば。
その気持ちは育ててはならない。気付かせてはならない。
アイドルは恋愛禁止、なのだから。