Mymed


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姫のマッサージ(させ)屋さん

93夜のあとすぐの時期
あくスヤではなくあく→スヤくらいで甘くないです
===

「せっかくの生活費が……」

 姫まんじゅうが大量に返品されたことにより、返金を余儀なくされた姫はベッドに寝転んで天井を仰いでいた。生活費が減ってしまうことには変わりない。何か別の手段を考える必要があった。とはいえ、同じことを繰り返しては意味がない。

「ねぇ君、何かいい金策はない?」

 そこらへんをフラフラと歩いていた修復部隊のスケルトンに牢の中から話しかけると、スケルトンは小首を傾げた。彼が顎に手を当てると、骨がぶつかったカランという音が小気味よく響く。

「肉体労働しかないんじゃないか? 姫の技術なら修復部隊に推薦してもいいぜ」
「……面倒くさそう」
「寝てるだけでいい仕事なんてないぜ?」
「ぬぅ……」

 スケルトンが去ったあとに牢の前を通ったのは淫魔のさっきゅんだった。歩いているだけなのに何やら楽し気なさっきゅんを見て姫はすっと指差した。

「……連れてきて」

 でびあくまに言うと、でびあくまはすぐさまさっきゅんを連れてきたが、さっきゅんは困惑しきりだ。歩いていたら突然複数体のでびあくまに持ち上げられ運ばれてきたのだから無理もない。さっきゅんは自分の身を守るように自らを抱きすくめていた。

「な、なに!?」
「君、私の影武者という君にしかできない肉体労働でそれなりのお金を稼いでるよね」
「まぁ……」
「私が影武者の影武者をすれば、そのお金をもらえるよね」
「いや、それ全然意味ないし……。どうしたの? お金に困ってるの?」
「まぁ……、そうかな」

 姫が経費が削減された事情を説明すると、さっきゅんはなるほどね、とうなずいた。

「それで影武者かぁ」
「本当はベッドで寝てるだけでいい仕事がしたい」
「まさか体を売るつもり?」

 さっきゅんは冗談を言ったつもりだったが、笑顔で見やった姫の表情に「ひっ」と顔をひきつらせた。姫はそれほどまでに「いいことを思いついた」と言わんばかりの顔でさっきゅんを見ていた。

「体を……売る……」
「やめて、その手があったかって顔しないで!」
「気持ちよくなるし、一石二鳥」
「だ、ダメだってば! 私があく……幹部に怒られちゃうし」
「ううん。もう決めた。君がお客第一号ね」
「え!?」

 姫は腹這いになってさっきゅんに「いいよ」と声をかけた。さっきゅんが逃げようとすると、すぐさまでびあくまに連れ戻される。

「さぁ。好きなだけツボ押しの練習をして」
「え」
「さぁ」

 さっきゅんは断りきれずに姫のツボ押しをして、その上お金を払って出てきた。半泣きで自らの上司に姫の非道を訴えるのは自然な流れだったかもしれない。

「やっぱあの姫ヤバいですよぉ……」
「姫がどうしたんだい?」

 部下の心配よりも姫の行動を知ろうとするあくましゅうどうしに、さっきゅんは姫がいかに理不尽かを一生懸命に伝えた。

「姫がお金に困ってるらしくて」
「あー……昨日もお饅頭を売っていたもんね」
「それで体を売るって……。寝てるだけで気持ちいいからって」
「え!?」
「私も無理やりやらされて」
「やら……!?」
「お金も法外だし、姫は終わったら寝ちゃうし。ベッドからはさっさと追い出されて、本当に理不尽なんですよ」

 あくましゅうどうしが鼻血を出す寸でのところで、さっきゅんは愚痴を言い終えて満足して去って行った。
 さっきゅんを見送るあくましゅうどうしは、想像だけで目が血走っている。すぐさまお金をかき集めて、姫が生活する牢へと向かった。

(お金なんていくらでもあげるから体を大切にして! って言わないと!)
「姫ぇ! お、お金なら私が……!」
「あ、いらっしゃーい」

 あくましゅうどうしが訪れたとき、姫は事業拡大のために看板を作ろうとしているところだった。

「そんなことしたらダメだよ姫!」
「ぬ」
「さっきゅんから聞いたよ。お金なら私がどうにかするから、そんなこと……!」
「なーんだお客さんかぁ」

 姫はぐっと親指を立てて見せた。そうして先ほどさっきゅんにしたように、腹這いになって「どうぞ」と言った。

「えっ、私にもさせてくれるの?」
「うん。へるものじゃないし」
「怖くないの?」
「? うん」
(ほ、本人がいいって言ってるんだから……)

 簡単に心が揺らぐ。
 幸か不幸か、姫はすでにプライベートサロンのような密室を作り上げていた。普段はフルオープンの牢にはシルエットすらうつらないカーテンが引かれ、ヒーリングミュージックが流れている。ごくりと生唾を飲み込んだあくましゅうどうしは、大金の詰まった皮袋をベッドの脇に置いた。ずっしりと重い皮袋はわずかにベッドに沈むほどで、姫はわぁっと声を上げた。

「すごいね、好きなだけやっていいからね」
「その……、このお金でお客をとらないようにはできないのかな?」
「うん、働かなくてもよさそうだね。じゃあ、どうぞ」

 もう一度促され、あくましゅうどうしはすっかり躊躇いをなくして姫の髪をかきあげて細いうなじを空気に晒した。そのうなじに口をつけると、姫は閉じていた目を開いて体をわずかに強張らせた。

(やっぱり少しは緊張してるのかな)
(首にツボ……? まぁ、あるか)

 あくましゅうどうしは優しい手つきで姫の体のラインを確かめるように体を撫でた。どこを触っても柔らかい体と手に吸い付くようなもち肌はそれだけで飽きない。うなじにキスを落としながら、あくましゅうどうしはさわさわと姫の体を触る。
 後ろから抱きしめられるようにして胸に手が伸びてきたとき、姫はなにやらおかしいぞ、と気付いた。右手ではやわやわと胸をもまれ、その先を優しくつまもうとされている。そして左手は姫の足の付け根を撫でていた。

「あの……ひゃっ」

 姫が反射でびくっと体を震わせると、あくましゅうどうしはするりとその足にしっぽを絡ませた。

(なんか、変……)

 首筋を吸われると、腰がびくりと反応する。そのたびに心臓が早鐘を打ち体温が上昇していくようだった。枕に顔を押し付けて吐息に声が混じるのを抑えようとするが、触られている場所に意識がいってしまう。

「気持ちいいかな?」
「……」
(マッサージ……だよね?)

 姫はその確認のために言葉を発するのすら億劫になりつつあり、早くもされるがままである。下着がしっとりと水分を含んだのを感じ取ったあくましゅうどうしは、姫の下着を膝までおろした。
 服を着たまま、少し姫の腰を持ち上げててらてらと光るそこへ顔をうずめる。

「!?」
「……甘い……」
(これは絶対に違う!)

 姫が抗議しようと体を起こそうとしたとき、あくましゅうどうしは敏感になった突起をちゅっと吸った。

「あ……ッ」

 立てた腕は砂の城のようにぐしゃりと潰れ、姫は再び枕に顔をうずめることとなった。お尻だけを出して持ち上げた体勢はひどく羞恥をかきたてられるが、姫はもう抵抗しようにも力が抜けてしまっていた。

(恥ずかしいけど……、不愉快ではない……)

 体勢こそ恥ずかしい上に何をされているのかもよくわからないものの、その手は温かくその手つきは優しい。害するつもりではないことは文字通り全身で感じる。

「ん……っ」
「姫」
「……っ、ぁ」
「姫、気持ちいい?」
「んっ、ぁ」
「だめかな? 気持ちいい?」
「う、うん。気持ちいい……っ、あっ」

 あくましゅうどうしは何度も何度も、姫が気持ちいいというまで同じ質問を繰り返す。その度に姫は気持ちいいと答え、自己暗示のように快感が花開いていく。
 姫の秘められていたはずの場所はとろとろになっている。
 ゆっくりと仰向けに転がされて初めて、姫はあくましゅうどうしが自分に何をしていたか気付いた。《吸われて》いたのだ。そんなことができる器官は一つしかない。

「く、口を、そんなところ……っ」

 寝転んでいるのにくらくらと眩暈がするような気がした。あくましゅうどうしはいたずらっぽく目を細め、ぢゅっとまた突起を吸った。のけぞるほどの快感が体に押し寄せる。

「姫が好きなだけやっていいって言ったんでしょ」
「でもそれは、あっ、あぁっ」

 わずかにはだけるだけだった胸元を大きく開き、あくましゅうどうしはその柔らかな双丘へ口を寄せる。そうして、姫がまた体をのけぞらせた一瞬で先ほどまで舌を入れていたそこに指を沈めた。

「ゆ、指なんて」
「爪は処理したからね、大丈夫だよ」

 あくましゅうどうしが中の形を確かめるように指を中に這わせると、姫の意思とは関係なく、姫のそこは彼の指をきゅっと包んで離さない。あくましゅうどうしが親指で硬くなった突起をいじると、姫は感じたことのない快感に声にならない声を漏らした。
 少しずつ上り詰めていく快感に打ち震え、ついに姫はあくましゅうどうしの指で達した。確かに心地いい、程よい快感。しかし、その波はすぐに引いてしまった。あと少しだけもどかしい。

(もう少し奥――……)
「……終わりじゃないでしょ?」
「えっ」
「もっとちゃんとして。もっと奥まで、ちゃんと」
「でも姫に気持ち悪い思いは」
「ちゃんと気持ちよかった」

 パジャマがはだけたままの姫に、行為の先を請われたあくましゅうどうしは少しの逡巡の後に「じゃあ」と口を開いた。

「避妊はしようか」
「うん」

 あくましゅうどうしが姫の下腹部に手を当て、呪文を呟いた。防御の魔術を転用した魔族特有の避妊方法である。ついでに痛みを軽減する魔術もかけておく。
 あくましゅうどうしは姫の胸にキスをしながら自らの下半身を露出した。手だけで確かめると、既に熱く怒張しており、準備などは何もいらない有様だった。今も姫の柔らかい胸を舐め、吸っては姫がぴくりと反応する夢のような瞬間だ。体が反応しない方が難しかった。

「姫、いい?」
「うん」
「痛かったり、嫌だったらすぐに言ってね?」
「うん」

 まだ濡れたままのそこに熱くなったものを押し当てる。とろけたそこは姫の小さな体からは想像もつかないほどやすやすとあくましゅうどうしを飲み込んだ。

「あ……、あぁ……!」

 指とは比べ物にならないほど太く、奥まで刺激されて姫は一突きで再び達した。柔らかくも狭い姫の中は、ぎゅうぎゅうとあくましゅうどうしを奥まで誘導するようにうねり、あくましゅうどうしの理性のふたを外そうとするかのように官能的に締め付ける。
 先ほど施した避妊のための防御魔術は人間界では薄いゴム製の道具が使われることが多く一般的ではない。魔族でこの方法が好まれるのはひとえに密着度の違いである。二人の間にはもはや空気の壁すらなかった。

「姫……」
「き、気持ちいい……よ……」

 先ほど何度も聞かれたこともあり、姫はささやくように、問われてもいないことを答えた。
 あくましゅうどうしの最後の理性の箍が外れた瞬間だった。
 姫の腰を持ち上げ抱き寄せながら、自らは上体を倒し姫の首筋にキスをする。さらに深く繋がったことで姫は無意識に腰を引いて逃げようとした。しかし、あくましゅうどうしはそれを許さない。その攻防は、ただ姫が腰を振っただけの状態になってしまった。そしてその結果、一番気持ちいいところを自ら誘導してしまった姫は再び無意識に腰を引く。それが何度も繰り返されて姫は自分で絶頂へと上り詰めていった。

「ひぁ……っ、だ、だめ……止まらない……!」
「姫はえっちだね」
「ちがっ、違うぅ……っ、あっ、あぁ……っ」
「私動かしてないよ?」
「んぁ……っ、やだぁ。き、君がっ、してっ」

 あくましゅうどうしが一番深くへと腰を打ち付け、そのままの体勢で耳元でささやく。

「何を?」
「あぁぁあああぁっ」

 姫はわずかに体を震わせながら、これまでで一番強く絶頂に達し続けていた。それでもあくましゅうどうしは体勢を変えないままささやき続ける。

「可愛いよ、姫。好きだよ」
「あ……、ひぃ……」
「ねぇ、気持ちいい?」
「気持ちいい……」
「好き?」
「す、き……」

 姫は半ば朦朧としながらあくましゅうどうしの言葉を繰り返す。あくましゅうどうしは姫に「好き」と言わせては腰を打ち付け、ついに中で果てた。姫はそのままぱたりと寝てしまった。
 ずるりと姫の中から自らを抜き取ったあくましゅうどうしは、真っ白なシーツに血が散っていることにぎょっとしつつも、自分が初めての客であったことにほっとしていた。寝ている姫にヒールをかけてシーツを変える。
 着崩れたパジャマのボタンを留めなおし、その場で寝てしまいたい気持ちをおさえて部屋へと戻る。

「あ、あくましゅうどうし様!」
「……さっきゅん」
「あくましゅうどうし様もしたんですか? ツボ押し」
「え?」
「あれ、姫にツボ押しさせられませんでした? さっき言ってた体を売るって話ですよ」
「……あぁ! あぁ、ツボね、ツボだよね! うん、その――……もうしないと思うよ」

 尋常ではない顔色になったあくましゅうどうしはふらふらと姫の牢へと戻り、姫が寝ているベッドに向かって土下座を始めた。思えば姫は何度か違うと言っていた。

「ありとあらゆる責任をとる――……」

 あくましゅうどうしは誰にともなくつぶやきながら、冷たい意志の床に額を打ち付ける。その姿は幸いにも誰にも見られなかったが、頭を打ち付ける謎の音は複数の魔物が耳にしていた。
 翌日、姫に最後のツボ押しの道具は何かと尋ねられるのだが、あくましゅうどうしは答えずに逃げていくのだった。